アダムからノアまで
アダムのエバが最初にも受けた子供がカインとアベルでしたが、アベルはカインに殺害され、カインは東方の逃亡の地で暮らすことになります。
一方、アダムのエバには多くの子供たちが生まれたようですが、その中の一人がセツという人で、ノアの祖先となります。


カインの系統と多神教
一方、一番最初の系図にあるように、カインの系統は聖書の述べる唯一神ではなく多神教へと進んで行きます。
一番最後に記載されている、トバル・カインは『銅と鉄のあらゆる道具を鍛造する者』と書かれていて、おそらく武器を作っていたものと思われます。
ヤバルは畜類を飼うものの始祖と書かれていますが、ヤバル以前に羊を飼うものは存在していましたから、おそらく遊牧民として家畜を飼育する生活様式を始めたということでしょう。
ユバルは琴と笛を扱うものの始祖と書かれていて、楽器を発明したか、音楽の新しい形を築き上げたかのどちらかではないかと思われます。
また、外典と言われるエノク書の中には、こんな興味深い記述があり、これがきっかけで神は洪水を起こす事を決めたことになっています。
筆頭のアザエール、つまり第10番目の支配者(archon)は、軍刀(machaira)と鎧と、あらゆる戦具の作り方を教え、大地の鉱石と金を、いかにして製作するか、また、女たちのためにこれらを飾り物に作る仕方や、また銀子〔の作り方〕を〔教えた〕。さらに、選ばれた鉱石や染料で、きらびやかにし美粧することも彼らに教えた。そうして、人間どもの息子たちは自分たち自身やその娘たちのために作り、聖なることから道を踏み外し、惑い出た。
文字通りに解釈するなら、その後のノアの洪水後の世界にカイン系の家系は地上には存在していないことになります。
ノアの息子たちは『セム、ハム、ヤペテ』です。箱舟に乗ったのはそれぞれの妻を合わせ、八人となります。上で述べたようセツを通して、セムの家系、やがてアブラハム、そしてイエスへと繋がっていきます。

ノア以降
旧約聖書では、ノアの息子たちはセム、ハム、ヤペテでした。
セムが最初に述べられていますが、聖書中の名前の順序は年齢的な序列では無いようです。

セムの家系が選ばれる
ノアが泥酔する
洪水後のある日、ノアは自分の葡萄園で作った葡萄酒を飲んで、酔って裸で眠ってしまいました。なぜそんなに飲んだのか?その理由は見つけられません。
裸で眠る、父の元へハムがやってきて、父の姿を見てしまいます。
ハムがどんな気持ちだったのか?それはわかりませんが、父が酔って裸で寝ていることを他の二人の兄弟、セムとヤペテに伝えました。
それを聞いた二人の息子(セムとヤペテ)は父の裸を見ないように後ろ向きに天幕の中に入り父親の体を布で覆います。
その事で、カナンは呪われる(ハムの息子)事になります。
重大なことだった
ぶどう酒で酔って寝ていたノアは目覚め、
自分に対して一番下の子が行ったことについて知ってこう言った。
「カナンは災いを受けよ
兄弟たちの中で最も卑しい奴隷となれ」
それほど重大な事だったのでしょうか?カナンというのはハムの息子で、ノアの一番若い孫に当たります。ハムではなくカナンが名指しされている理由は聖書中には見つけられません。
しかし、ノアが目覚めた後で、一番下の子が自分に対して行った事を知った。と書かれています。
その点を根拠に、これはカナンが何か(倒錯的な?)をしたという事であろうと考える学者もいます。
さらに、この一番下の子と訳されている部分は、孫と訳すこともできます。
カナンに対するのろいの言葉は,宣告されてからおよそ8世紀後成就します。カナンの子孫はセム系のイスラエル人に服従させられ、メディア-ペルシャ、ギリシャ、ローマなどのヤペテ系諸強国に支配されるに至り、その通りに成就しました。
セムからアブラハムまで

ノアのひ孫にあたる人物の一人にニムロデという人がいますが、彼はバベルの塔を作ろうとした人物であると言われています。聖書の記述通りに解釈するなら、この時まで世界は言語が通じていたことになり、これ以降の人々は違う文化を持つようになったと解釈できます。

ノア以降ヤコブまでの系図です イエスの家系はセムからアブラハム、イサク、ヤコブとつながっていきます。

12部族
イスラエルの部族の祖となったのは、ヤコブと二人の妻と妻のはしための間に生まれた十二人の息子たちです。
ルべオン シメオン レビ ユダ ダン ナフタリ ガド アシェル
イッサカル ゼブルン ヨセフ ベニヤミン です。
ユダとベニヤミンの2部族はユダ王国、他の10部族はイスラエル王国の元にとどまります。ユダが南イスラエルが北となります。
失われた10部族とは、ルベン、シメオン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、イッサカル、ゼブルン、マナセ(ヨセフの子)、エフライム(ヨセフの子)、となります。
ヤコブと二人の妻、妻のはしための間に生まれた十二人の息子たち


ユダの家系からイエスにつながっていきますが、経緯だけを見ると、ヨセフの方があっているように思えますが、ユダの妻になったタマルという女性の行動によってユダの家系ということになっています。



14代という言葉が繰り返されていて、なにか象徴的な意味を持つのだろうか?とおもうのですが、聖書中に14という数字はここでしか使われておらず、おそらく覚えやすくするという意味ではないかと思います。
しかし、新約聖書のマタイの記述ではダビデだけがダビデ王と書かれていて、そのことを合わせて考えると、もしかするとイエスが正当な王であると強調する意味合いがあったように思えます。
複雑ですが、ここまで出てきた重要人物をまとめると上記のようになります。
またレビ族からはモーセとアロンが生まれ、祭司職を司ることになるため部族には含まれません。
