宗教

宗教の始まり

人類が野生の動物や植物を自分たちのために管理する事をドメスティケーションといいます。動物の生殖能力を管理して家畜化し、植物は農業としてそれまで存在しなかった家畜や栽培植物を作り出すことに成功しました。

生き物を家畜化して、生殖能力を管理し、計画して農業を行い収穫するために、人は一定の地域に定住するようになりました。

人類はある時期に突然、東アフリカから世界中へ散らばっていったことはDNAの研究でわかっています。

最初のドメスティケーションは約12,000年前のメソポタミア地方だと言われています。DNAの人類の移動ルートでもアフリカから出た人びとは一旦メソポタミア周辺に集まりその後、全世界へと移動しています。

さらには、砂金から金を採取したり隕鉄や自然鉄の加工がはじまり、やがては製鉄をするようになっていきました。

そのようにして、自然の一部を支配下に置くようになったものの、自然界のすべてのものに人類の知識の及ばない目に見えない力が及んでおり、人がすべてを支配することは到底無理で、圧倒的な何かしらの力、エネルギー、と言ったものが存在していると考えるようになっていったようです。

その証拠としてあげられるのが、メソポタミアの古墳遺跡から出土された土偶です。

胸や臀部を強調した女性をかたどっており、丁寧に着色され使用後壊された形跡があることなどから、出産する女性はまさに神秘であり、豊穣を祈願する護符のような存在として、作られたことが推測できるからです。

そして、女神と対になって、蛇も古くから信仰の対象だったようです。

豊穣の象徴、神の使い、何度も脱皮を繰返すその姿から『死と再生』を連想させ。その形状は陰茎を連想させ、豊穣の女神とセットで蛇が崇拝の対象となっていました。

豊穣と出産・性愛

農耕が始まり、豊作を願い、人は何故死ぬのか、太陽は何故昇ってくるのか、自然界の法則を作ったはだれなのか、そんな事を考えるようになりました。

この農耕がきっかけとなったドメスティケーションによって何かを崇拝すると言う行動が、施設を作り、集団で崇め奉る宗教へと自然発生的に移行して行ったと考えられています。

雨乞いしたり、太陽を願ったり、神に願いを届け神託を伺う特別な存在『シャーマン』が登場します。さらには、生命の誕生に関わる器官、生殖器そのものを神聖なものとして崇拝の対象とするようになっていきます。

インダス文明の頃には、すでにこれらすべての信仰の痕跡が認められ、ヴェーダは世界中に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

ギョベクリ・テペ

しかし、最古の遺跡と言われている、ギョべクリ・テペは放射性炭素年代粗規定により、メソポタミア文明より7,000年ほど古い文明だったと言われていて周囲に水場がないことや、人が住んでいたと思われる痕跡がないことから特別な祭礼を行う施設『神殿』だったと言う説があります。だとすれば、農耕以前にまず、宗教が存在していたことになります。原始的な宗教ではなく、組織宗教です。

崇拝ありき

だとすると、まず宗教が存在し、施設を建造する人手が必要となり、階級や管理者が必要となり、携わる人のための食料が必要であり、農耕や定住の必要性が増大していったと考えられます。つまり定説とは逆の結論になってしまいます。

さらに、人類が大移動を始める前のアフリカ、(ボツワナのツォディロの丘)では、大蛇の石像が見つかっています。これは一体何を意味しているのでしょう。

先史時代

30万年前意図的な埋葬
スペイン アタプエルカ
20万年前ネアンデルタール人の集落
ヨーロッパ 近東
13万年前ネアンデルタール人 の意図的な埋葬
クロアチア クラピナ
10万年前現生人の 儀式的埋葬 ベンガラによる骨への着色
イスラエル カフーゼ
7万年前パイソン(にしきへび)崇拝
アフリカ ボツワナ ツォディロの丘遺跡
5万年前 シンボル
後期石器時代 アフリカ 人類の移動
4万2千年前儀式的埋葬 ベンガラの塗布(アフリカから宗教的習慣が入る)
オーストラリア マンゴ湖畔
※酸化鉄顔料
4万年前現代人類
丹念な死者の埋葬 女性の立像 洞窟芸術(フランス南部ショーべ洞窟・ネアンデルタール人?/フランス西南部ラスコー洞窟・クロマニョン人?)宗教的思考の始まり
ヨーロッパ 後期旧石器時代
3万年前シャーマンによる埋葬
2万年前ネアンデルタール人絶滅
1万1千年前メソポタミアでドメスティケーション
農業の始まり 領土や国家が形成され、組織宗教の土台(首長

古代

ウバイド3期にはすでに、神殿が建てられ祭祀を執り行っていた痕跡が見つかっています。ウバイドはメソポタミア地域での母系風習のことを指していて、日本の乳母に類比しています。このことから、シャーマン的女性が社会的に高い地位にあったことが伺えます。

この時期には社会階層ができあがり、平等が失われていき世襲による首長制で、首長の一族が当時のエリートでした。さらには食料を保存する倉庫を管理したり分配したりするにあたって、社会秩序が求められるようになりやがて、国家へと発展していきます。

古代の遺跡が示すように人類は、太陽神、大地母神、を崇めるようになりました。

生まれるということ農耕に太陽が密接に繋がっているためです。

同時に、すべての事象、動植物の中に不思議な力を見出すアニミズムが産まれていきます。

そして、世界最古の宗教はゾロアスター教だと言われています。

シャーマンや巫女が女性である理由

女性は機能的に子供を宿すことができる=魂を体に宿すことができる存在であり、女性は魂を呼び込みやすいと考えられていたためと言われています。

歴史時代

前3,000筆記の始まり シュメール
前2,600ー1800インダス文明 (インドの宗教へ)
※豊穣と再生を祈願する儀礼を行っていたらしい水に係る施設跡 大浴場
※豊穣と再生を祈願する儀礼を行っていたらしい火に係る施設跡 女性像
前2,494宗教的記述 ピラミッド文書
※古代エジプトの葬礼文書 ピラミッドの壁面に刻まれている 故王の復活と永生のため、葬儀や供養の儀式の際に唱された呪文のテキスト ピラミッドごとに呪文が違う
前2,300中国の歴史書『書経』調和と極楽の概念の記述
前2,200ミノア文明(エーゲ海/クレタ島)で女神崇拝 祭祀と行政が密接に結びついていた
蛇を持つ女神(頭に猫)
蛇崇拝
山頂聖所 洞窟信仰

※玉座にはグリフォン(鷲(あるいは鷹)の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物)が向かい合って描かれており、神託を受ける女性が宗教的な行為を行っていた

※ギリシャ文明による民主主義の発展で一般市民が政治に関わるようになり、神託と政治が密接だった女系社会から、民主的な男系社会に変化していった
アテネ民主政は成人男子にのみ参政権があった
前2,000マヤ文明
蛇崇拝
前1,850ギルガメッシュ叙事詩が書かれる
前1,780ハンムラビ法典が制定される
前1,500初期ヴェーダ
古インド・アーリア(サンスクリット語)の話者たちがインド亜大陸に入る
※神々はデーヴァ神族とアスラ神族とに分類されている。
・デーヴァは現世利益を司る神々とされ、人々から祭祀を受け、それと引き換えに恩恵をもたらす存在とされた。
・アスラは倫理と宇宙の法を司る神々で、恐るべき神通力と幻術を用いて人々に賞罰を下す神とされた。
前1,367古代エジプト王アメンホテプ4世(イクナートン)が一神教という概念を導入
※唯一神アテン(日輪を神格化した神/太陽神)のみを祀っていました。
しかしアテンは王のみの神で、民衆にとっての神は王であるとして、名前をアクエンアテンとし他の神々の像を破壊し王を崇拝するよう説いた
前1,250トーラ最初の巻が書かれる
※モーセがエジプトからヘブライ人の脱出を指導したとの言い伝え
前1,200最も初期の寺院とピラミッドが建てられる オルメカ人 中央アメリカ
前1,000ヴェーダの編纂始まる(紀元前3世紀ころまでつづく)
前950モーセ5書(トーラ)が書かれる
前800ブラーフマナが書かれる
※ヴェーダの天啓文書
前776オリンピックの起源 古代ギリシャの最高神ゼウスに捧げる競技祭がオリンピアで始まる
前628−630ゾロアスター生まれる(以下に詳細記載)
前597−539バビロン捕囚
ユダヤ教成立
前563ゴータマ・シッダールタ生まれる(仏教の創始者)
前551孔子生まれる (儒教の創始者)
前7−2イエス・キリスト生まれる
33-38 イエス・キリスト磔刑
250-900マヤ文明 階段ピラミッド
405ラテン語 ウルガタ訳聖書が執筆される
610ムハンマド(イスラム教の創始者)が天啓を受けた
650コーラン完成
712古事記 編纂

アニミズム

自然信仰

生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方をアニミズムといいます。日本の八百万の神はこれに属します。

アニミズムは自然にまつわるすべてのものに神が宿っているとする。いわば、自然現象を人格化しその力を操ったり、封じたりするための呪物や呪術が産まれます。

呪物・呪術

人に及ぼす影響が最も重要で、呪物や呪術を用いることで人に禍福をもたらすと信じ儀礼を行っていました。これが原始宗教と言われるものでした。

端的に言えば、単なる石や木であってもそこに呪術的な神秘性を見出して祈ったり祀ったりする対象になれば呪物という事ができます。

地母神

上で述べたように、宗教的な概念は人が自然の木の実などを食べていた時代から、農耕が始まることと大きく関係しています。農耕が始まると人々は豊作を願いそこには何らかの目に見えない力が関係していると考えるようになります。

そこで産まれてきたのが豊穣の女神 大地母神です。イナンナ、アシュトレテ、キプロス、ガイア、キュベレー、レア、アフロディーテ等、脈々と大地母神の信仰は続いていきます。

中国の女媧(ジョカ)や后土(コウド)日本の国之常立神(クニノトコタチノカミ)大国主神(オオクニヌシノミコト)天照大御神(アマテラスオオミカミ)などなど、全てをあげることはできませんが、地母神とされている神は世界中に沢山います。

太陽神

天候が人類に与える影響は計り知れません。中でも太陽の恩恵はわかりやすく、すべての生命にとってとても重要な存在です。ですから、人々が太陽を神と崇め信仰したのでしょう。

たとえば、日本の、天照大神 は皇祖神(現在の皇室の祖)だと言われており、そのルーツは大陸から渡来した稲作農耕民であったと考えられています。

エジプト神話の『ラー』は太陽の化身と称される太陽神です。ギリシャ神話におけるアポロンも太陽神です。インドのスーリヤも太陽神です。

ゾロアスター教

宗教

人間の力や自然の力を超えた存在への信仰を主体とする思想体系、観念体系であり、また、その体系にもとづく教義、行事、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団

心の中の信仰だけでは宗教とは言えず行動が伴って宗教と定義できるということです

最古の宗教はゾロアスター教だと言われています。ササン朝ペルシャの国教となりましたが、7世紀に入ってイスラム教徒の征服によって、信徒達の多くはインド方面へ逃れていきました。

このゾロアスター教の概念が後の宗教全てに大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。

ゾロアスター教の始祖ゾロアスター

イランの原音に近い表記ではツァラトゥストラ、ザラトゥシュトゥラ

ニーチェのツァラトゥストラはかく語りきのツァラトゥストラはこのゾロアスターのことです。

生没年

前1200から前600年の間に生まれたとされています。このページではササン朝の年代から前628から前630であろうと算出している説を採用しました。

ゾロアスターは秘儀を開示してから35年後に亡くなったとされていて、没後ゾロアスターの種子は湖底に蓄えられて、幾世紀も後に3人の処女にやどり、3人の救世主が産まれると言われています。

教義

この世の光と善は最高神アフラ・マズダーから発せられます。

あらゆる現象は、光と闇、善と悪の対立であり、最高神アフラ・マズダーの聖霊と暗黒の神アーリマンとが激しい戦いを繰り返しています。天地が創造されてから、12,000年、ゾロアスターの時代から3,000年を経て世の終末が訪れて、善と悪の最後の決戦に置いて悪が滅びます。ついで、最後の審判が行われ善の国が建設され、新たな不滅の世が始まるとされています。

一神教的 二元論

最高神アフラ・マズダーと、善の霊と悪の霊 の最高神と二元論が世界観となっています。

天国・地獄・洗礼の儀式・肉体の復活・最終審判・永遠の命ということが初めて人類に説かれました。

偶像礼拝を禁じ、火葬、土葬、水葬は禁じられており鳥葬にします。

最も尊ぶものは『火』であり、光は善、正義、真理、清浄のシンボルとされています。

ゾロアスター教徒は父親が信者であること

ジャシャンと呼ばれる、世界に平和と秩序をもたらす儀式に子供の頃から参加しゾロアスター教徒としての基礎を教えられます。

純潔性を重んじるため、父親がゾロアスター教の信者でなければ入信できません。

古代アーリア人

インド方面へ向かった一群がイランに定住し口伝による神話が伝えられ、後のゾロアスター教へと繋がっていきます。

ヴェーダの影響

ヴェーダにおけるデーヴァ神族アスラ神族はそれぞれ、最高神アフラ・マズダー とダィヴァになっていて、一見すると立場が逆になっています。

しかし、初期のデーヴァにはアスラに悪役的な要素はあまりみられませんでした。ゾロアスターは神官の家に生まれた当時の知識人であり、このヴェーダに精通していたはずです。

ヴェーダでは、火の神『アグニ』が火を通じて人びとの祈りを天の神に届けるとされていて、火の信仰存在していました。

アフラ・マズダー

アフラ・マズダーは『智恵ある神』を意味し、正義と法の神であり、最高神とされる。アフラは天空、マズダーは光を指す言葉であり、アフラ・マズダーは太陽神ともされる。

原ゾロアスター教でアフラ・マズダーは最高神として崇拝されていますが、ミスラやオフルマズド、ズールなど場所や時代による変化もあります。