風習

夜に爪を切ってはいけないって本当ですか?

このサイトでは古くから伝わる風習や、行事、童謡や昔話など、どこか不思議で不自然で不気味にさえ感じるような事柄を、色々な角度から紐解き、八割の資料と、二割の独自見解で、深読みしていこうとするものです。

あくまで、都市伝説、またはエンターテイメントの読み物としてお楽しみいただけたら幸いです。

しかし案外、現代の混沌とした時代を生き残るキーワードは、そんな不思議を探ることで見つかるのかもしれませんよ!

夜に爪を切ることは、タブーなのか

この記事はこんな人のために書いています

夜に爪を切るといけないと言われたことがあるけど本当だろうか?と思った人のために書いています。

この記事を読むとこんなことがわかります

夜爪を切ってはいけないと言われるようになった本当の理由を古い文献と伝承から探ります。

夜に爪を切ると・・・

夜に爪を切っていると、親の死に目に会えないからやめなさい。なんてことを言われたことがあるかもしれません。

昔の夜は現代のよりよりも暗く、今使っているような爪切りもありませんでしたから、爪を切るときには『刃物』を使っていました。

暗い中で、子供に危険な行為をさせたくないと思う親心が『親の死に目に会えない』と言わせたのでしょうか。

日本書紀の一説

日本書紀の記述を見ると、爪に関する記述はいくつか見られます。

八百万の神は、(タケハヤ)スサノオノミコトに罰を与えるために、たくさんの品物を差し出すよう命じ、髭を切り、手足の爪を抜いて追放してしまいました。

スサノオノミコトといえば、ヤマタノオロチを退治する英雄ですが、この時点では高天原と呼ばれる神々の住まう天の世界に混乱を巻き起こした悪者という立場です。

手の爪を持って吉爪棄物(よしきらいもの)とし、足の爪を持って凶爪棄物(あしきらいもの)とした。手足の爪を抜いて贖わせた。

アマノコヤネノミコトをして、その祓えの祝詞をはっきり表明した。

世の人が、己の爪を大切に収めるのはその由縁があるからだ。

アマテラスオオミカミは弟のスサノオノミコトの粗暴さに心を痛めたことで天岩戸に隠れてしまいます。

それによって引き起こされた、世のなかの混乱に対する罪の贖いとして爪を剥がすということが行われたと書かれています。

親の死に目との関係は?

この記述には、実際に親の死に目に会えないとは書かれていませんが、

追放されたものは家に入れてはいけない。とか、神やらいに会って私は永の別れをしなければならない、などと書かれています。

このことから、罪を犯した人と同じことをしてはいけないという考え方が広まり、夜の爪切りは罪=タブーとなっていったのではないでしょうか。

爪剥がしは夜に行われた

この爪はがしが夜に行われたとは、書かれてはいません。

しかし、これは神判で取り決められたことであると書かれています。日本書紀の中の『仲哀天皇の段』では、神祭りの最中に突然、琴の音色が途切れ火を見上げてみるとこと奏者が突然死していたという話があります。

皇后の祭庭(まつりば)が巫女、天皇が琴奏者、武内宿禰(たけのうちすくね)が審神者(神懸かりした御巫に付いて神との問答を伝える)という神事が行われていました。

琴というのは、古代の時代から神事用の神聖な楽器とされており、神の信託を受けるべき人、宗教的支配能力のある人が所有していました。

この信託を問う、神事の記述の中で、火が焚かれていたと述べられているので、この神判は夜間に行われていたと考えることができます。

ですから、スサノオノミコトに対する償いも夜間に行われたものと考えられます。

戦国時代

世詰め

戦国時代、『世詰め』と呼ばれる人々がいました。夜間の城の警備をする重要な任務を行う人々で、例え親が死のうが、何があろうが決して持ち場を離れることは許されませんでした。

そのことから、語呂合わせ的に、世詰め、夜爪、と言われるようになったのではないかと言われています。

その他

爪にまつわるタブー

夜に爪を切ると親の死に目に会えない以外にも、各地にはさまざまな言い伝えがあるようです。例えば、夜、爪を切る時は、夜爪を切る爪は鷹の爪と三度言う(埼玉)や、夜、爪を切る時は家の下で猫の爪を切るといえばよい(岐阜)夜の爪は何の爪と言って切る(京都)などです。

また、爪を燃やしたり火にくべたりすることもタブーとされています。

夜、爪を切り火鉢に入れると泥棒が入る(長崎)爪を切って火の中へ入れると火事になる(山口) などです。

起きる事柄は、地方によって様々あるようですが、いずれも良からぬことが起こると言われています。

親の愛情

このような言い伝えは何か根拠があるものから、人々の恐怖心などから発生したものまでいろいろありますが、そのどれも子供たちを守りたい、家族を守りたいという親心から出ているものなのかもしれません。

先に述べた通り、夜間の薄暗い中での爪切りは、危険が伴いました。爪切りは刀のような刃物を使っていました。

子供が自分で夜に爪を切ると怪我をしたかもしれませんし、衛生環境も今とは違うため破傷風などを引き起こしたかもしれません。

さらには、自分の体を例え痛みを伴わない爪や髪の毛であっても大切に扱わなくてはいけないのだと言うことを教える、そんな意味があったに違いありません。