ヨシュア記の次の書、士師記の中で出てくる3人の重要人物がバラクとデボラ、ギデオン、サムソンです。
バラクは裁き人でデボラは女預言者と書かれています。リベカの乳母のデボラとは別人です。

女預言者
聖書中に、モーセとアロン姉である「ミリアム」「フルダ」ギリシャ語聖書に出てくる「アンナ」などがいますが、神の意思を伝える女預言者と、単に真似事かあるいは偽りの女預言者の両方が登場しています。
ラピドトの妻である女預言者デボラがイスラエルを裁いていた。 彼女はエフライムの山地ラマとベテルの間にあるデボラのヤシの木の下に座っていた。イスラエル人は裁きを求めて彼女の所に上ってくるのだった。
士師記4:4、5
当時、イスラエルに人の王は存在していなかった頃に、神がイスラエルの民を圧政(略奪者)から救う為に立てた人が、『士師(裁き人)』でした。
イスラエルが自分たちの悪行を悔い改めて神により頼んだ時に裁き人は民を救出しました。
バラクとデボラ
その裁き人であるバラクは、神からの指示は全てデボラを通して聞くことになります。

デボラはバラクとともに一万ほどの兵を率いて、古代都市メギドの近くタボル山で攻め入るその時を待っています。
バラク軍の装備は貧弱でしたが、カナン人の軍隊は「車輪に鉄の刃が付いた戦車900両」と書かれています。
そんな中、デボラを通して山から降りるように伝えられます。バラクは軍を率いて山を降ります。
バラク軍が近づいてきたことを知ったシセラは900両の戦車と、全軍を集めキション川へやってきます。
すると何故だか、『シセラ軍は混乱』し、軍隊は全滅し、率いていたシセラは自分の足で逃げて行きます。
逃げたシセラは、ヤエルという女性の天幕へ逃げ込みます。ヤエルはヘベルという、ケニ人の妻でしたが、このへベルの家と王ヤビンが友好関係にあった為ここへ逃げ込んできたのでした。
しかし、その夜、シセラがすっかり寝入った時にへベルは杭を手に取りシセラのこめかみに突き刺し、地面に打ちこんで殺害します。
士師記4:9でデボラが予言した『シセラをある女性の手に渡す』が成就しました。
その結果、カナンの王ヤビンを圧倒していき、やがてヤビンも殺され、勝利を収めます。
ギデオン
ギデオンはオフラという町に住んでいました。
ギデオンの父はバアルという神を崇拝していましたし、オフラの街の人々の多くもバアル崇拝者でした。
ギデオンはマナセの部族の中で最も小さな、取るに足りない者でした。
士師記6:15
神の使いと会う
ある日、ギデオンの前にみ使いが現れ、裁き人になるように告げられます。ギデオンはそのみ使いが本当に、神のみ使いなのかどうか確かめさせて欲しいと願い、子ヤギの肉と煮汁、無酵母パンを調理して持ってきます。
み使いはそれを岩の上に置くように命じ、持っていた杖で触れると岩から火が上がって焼き尽くし、み使いは立ち去ります。
祭壇を壊す
その夜、父親のバアルの祭壇を破壊するように命じられます。そして、神のための祭壇を作って牛の捧げ物をするように告げられます。
ギデオンは10人の召使いとともに夜中に実行します。
翌朝になって、人々はギデオンの死を求めますが父親は『バアルが神ならバアル自身に弁護させたら良い』と言って息子を人々の手に渡すことはしませんでした。
神を試す
ギデオンは神が自分とともにいるという確信をさらに得るために、羊毛だけがつゆで濡れて、地面は乾いているようにして欲しいと願います。
翌朝その通りになっていましたがさらに、今度は逆の願いをするとその通りになりました。(地面はつゆで濡れて羊毛だけが乾いている状態)
兵士を選別する
ギデオンの呼びかけに応じて3万2千人が集結しました。敵の人数は13万5千人ですから明らかに劣勢です。
しかし、神はもっと人数が多すぎると指摘します。そこで、恐れを感じている人は立ち去るように告げると2万2千人が去っていきます。
神は残りの1万人を水辺に行かせ、警戒しながら水を飲んだ人だけを選別するようにと言います。結果300人の兵士が残りました。
ミディアンへ
ギデオンは300人の兵士を三つに分けてそれぞれに角笛と大がめを持たせ亀の中には松明を入れさせました。
夜になって、ギデオンたちは敵陣の端3方向に着き、300の角笛を吹き鳴らし、時の声をあげます。右手に角笛、左手に松明を掲げ空が照らされると、ミディアンの陣営が『混乱し同士討ち』し、ナフタリ、アシェル、マナセの人々がミディアンを追跡し、ギデオンたちは勝利を収めます。
サムソン
サムソンはナジル人でした。ナジルびとと読みます。
ナジルとは『選び出された』という意味があり、神へ仕えるために特別に取り分けられた人のことで、自発的にナジル人になる人と、任命されてなる人がいました。
サムソンは生まれながらのナジル人です。
聖書中に出てくる生まれながらのナジル人はサムソン、サムエル、バプテストを施すヨハネです。
父親はマノアという人で、ある日妻が天の使いに出逢います。
あなたは子供ができませんでしたが妊娠して男の子を産みます。それで注意してぶどう酒などの酒を飲まないようにし汚れたものを食べないようにしなさい。
あなたは妊娠して男の子を産みます。その子の頭にかみそりを当ててはなりません。生まれた時から神のナジル*となるからです。
このみ使いはその後、二人の前にもう一度現れます。
マノアはその人がみ使いであることがはじめわわかりませんでしたが炎の中を登る姿を見てみ使いだと知ることになります。
この時にみ使いに名前を尋ねますが、何故尋ねるのですか?それは驚くべき名前です。と答えています。
ライオンと戦う
サムソンはある女性を妻として迎えるために、両親とともに女性の住むティムナに向かいます。
サムソンが女性を迎えに行くために葡萄園までくると、ライオンが吠えながらサムソンの方へ向かってきます。
サムソンは素手で二つに引き裂きます。
二つに引き裂くという表現はおそらく、あごを大きく開いたのではないかと考えられます。
女性を迎え両親の元へ戻る途中、先程のライオンにミツバチが群がっており蜜があったのでサムソンはその蜜を食べ、両親にも持っていきます。
サムソンは7日間の宴会催し人々に謎かけをします。
食べる者から食べ物が出
強い者から甘い物が出た
7日間の間に謎かけが解けたら30枚の亜麻の下着と30着の衣装を手にすることができますが、解けなければサムソンに与えなくてはいけません。
しかし、三日たっても謎が解けず人々はサムソンの妻に謎かけの答えを聞くようにと言います。さもなくば、お前もお前の家族も火でやいてしまうと言います。
妻がサムソンに答えを聞き出そうとしますが、サムソンは話しません。妻は結局宴会が終わる7日目までずっと泣き続けたためついに妻に謎かけの答えを教えます。
そして7日目に妻は答えを人々に教えます。
サムソンは妻が教えた為謎が解けたことを知っていますが、フィリステア人30人を討ち、謎に答えた人達に衣装を与えました。
民数記に書かれているナジル人の規定は以下の通りです
・葡萄酒、その他、酔わせる酒、そこから作られた酢も飲んではいけない
・葡萄のツルに出来るもの、葡萄の実、その皮を食べてはいけない
・頭に剃刀を当ててはいけない。髪はのばしておく。
・死んだ魂に一切近寄ってはならない。
※規定を犯した場合は浄めの儀式を行う
ナジル人には二通りのタイプがあり、生まれながらのナジル人、自ら志願したナジル人がいます。サムソンは生まれながらのナジル人ですから、ナジル他人のこの規定に当てはまらなかったと考えるのは通りに叶った見方でしょう。
デリラとの出会い
やがて、サムソンはデリラという女性を愛するようになります。

街の人々はデリラに、サムソンの強さの秘密を探ルナら銀1100枚を与えようと言います。
デリラがサムソンに強さの秘密を尋ねます。サムソンは『新しい弓弦7本で縛ったら弱くなる』と言います。デリラは『新しい弓弦7本』でサムソンを縛り人々を呼ぶと、サムソンは弓弦を引きちぎります。
こんなことをさらに2回繰理返します。
デリラは毎日小言を言うようになり、サムソンはそれに耐えられなくなりついに秘密を打ち明けます。
私は生まれた時から神のナジルなのだ。
もし髪の毛をそり落とされたら私は力を失う。
デリラはそれを聞くと人々からお金を受け取り、サムソンを自分の膝の上で寝せて、サムソンの7つに編んだ髪を剃り落とします。
そこへ人々がやってきてサムソンは両眼をえぐり取られ、足には銅の足枷をつけられ牢屋に入れられます。
タゴンを祝う祭り
牢屋の中でサムソンの髪の毛はまた伸び始めてきました。
ある日、3000人の男女が集まり 自分たちの崇拝するタゴン(下半身が魚形の海神)に犠牲を捧げて祝っていました。
そして、奴隷になったサムソンを連れてきて笑い物にしながら異様な盛り上がりを見せていました。
サムソンは『寄りかかりたいので柱に触らせて欲しい』と言います。
そして、どうかフィリステア人に復讐させてください。今一度私を強くしてください。私をフィリステア人と共に死なせてください。と叫ぶと、一方を右手で、もう一方を左手で、しっかりと2本の押し付けました。
すると、家が崩れ家は領主とそこにいた全ての人の上に崩れ落ちサムソンもそこで命を落とします。
