ヨシュアが率いるイスラエル軍がジェリコの城壁を崩したこと、その後、アイの街を陥落させたことは近隣の街にも知れ渡ります。
そこで、ヘト人、アモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちは戦いに備えて同盟を結びます。

ギベオン人との友好条約
ギベオン人もヨシュアが率いるイスラエル軍に恐れを感じていました。そこで、旅人のふりをしてヨシュアから友好条約を結ぼうとします。
擦り切れた袋に食料を入れたり、擦り切れたサンダルを履いたりして遠くからヨシュアたちを追いかけてきたように見せかけて、まンまと友好条約を結ぶことに成功します。
しかし、契約後三日目にはイスラエル軍はギベオンの街に着き自分たちが騙されていたことに気が付きますが、ギベオン人を守ることにします。
エルサレムは動揺する
ギベオンの街は比較的大きな町でしたが、イスラエルと友好条約を結んだことを知ると動揺します。
そこで、エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヘブロン、ヤルムト、ラキシュ、エグロンの王たちは協力してギベオンと戦うために陣営を敷きました。
ギベオン人は助けを乞う
5人の王たちの策略を知ったギベオン人たちはヨシュアの元に来て助けてくれるように願います。
ヨシュアは全軍を率いて夜通し進軍し王たちの部隊に不意打ち攻撃を仕掛けます。
すると、神が王たちの軍隊を混乱させ、逃げ惑う彼らの上に雹を降らせます。
太陽を止める
ヨシュアは、『太陽よ止まれ!ギベオンの上で。月よアヤロンの谷合の平原の上で』と叫ぶと太陽も月も動くことをやめます。
そのおかげで、イスラエル国民は戦いを続けることができたと書かれています。
太陽の記述のところで、ヤシャルの書に書かれている。という言葉が出てきます。このヤシャルの書は当時の歴史書のことであろうというのが一般的な見方です。サムエル第二にも登場します。
5人の王
一方、5人の王たちはマケダの洞窟に隠れていたところを発見されます。戦いが終わるまで入り口には大きな石で塞がれ王たちは閉じ込められます。
戦いが終わり、王だけになった時に洞窟から連れ出されます。
ヨシュアは司令官たちに『王たちの首を踏むように』命じます。その後、ヨシュアは王たちを殺し木に掛けて日没後に隠れていた洞窟の中に投げ込みます。
その後、一帯の街を滅ぼし尽くし、全ての王を同じように殺戮します。
メロムの泉
カナンの地の他の地域の王たちも団結し、砂のような大群となりメロムの泉にきて陣営を敷きます。
ヨシュアはメロムの泉で、不意打ちを仕掛け馬の腱を切り、兵車に火を放ちます。ヨシュア11:7
息をするものは一人も生き残らなかったと書かれています。
この一見残虐な行為は、神託と関係(神に命じられた通りに行っている)しているので内部に反対者はいません。
ヨシュアとイスラエル人が彼らを非常に大勢殺し防備された町に逃げ込んだ人たち以外を一掃した後軍勢は皆マケダの宿営のヨシュアのもとに無事に戻ってきた。あえてイスラエル人をののしる人は一人もいなかった。
ヨシュア10:20

土地の分配
ヨシュアが高齢になってなお強権な人でした。約束の地を各氏族に振り分ける仕事に着手します。
土地の配分はくじで行われました。
モーセに対してあらかじめ数が多ければ相続分を多くするように(民数記26:54)、登録者数に比例して与えるようにと命じられていましたので、くじと氏族の人数を考慮して分配されたようです。
くじで地理的な場所を決めて部族の大きさによって範囲を決めました。
当時のくじは誓いと同様に祈りが伴い、そこには当然のように神の介入があるとされています。
くじ(ヘブライ語ゴーラール)「分」とか「受け分」という考えを伴います
避難の町
クジで各支族に土地が分配されましたが、復讐者からの避難所となる街が6つ定められます。
この街は意図せずに誤って人を殺してしまった場合に逃げ込んで復讐者から守られました。
正当な裁きを下すことができるようにという配慮でした。
その街の大祭司が死ぬまでその街にとどまり、その後以前の街に帰って良いということになっていました。
ヨシュアの死後
それぞれの部族に土地が配分されそれぞれの土地での暮らしが始まります。その際に申命記7:2でのべられていた命令に反く支族が出てきます。
あなたは彼らを打ち破ります。必ず滅ぼし尽くしなさい
彼らと契約を結んだり、好意を示したりしてはなりません。
申命記7:2
天からの使いがイスラエル人に対して警告を与えます。
あなたたちもこの土地の住民と契約を結んではならない。
彼らの祭壇を打ち壊すべきである
それなのに、あなたたちは私の声に従いませんでした。
私は彼らをあなたたちの前から追い払わない。あなたたちにとって彼らはわなとなり、彼らの神々は誘惑となる。
士師記2:2
やがて、人々はヨシュアたちをエジプトから連れ出した神ではなく、カナンの土地の神々、バアルやアシュトレテを崇拝するようになります。
神はイスラエル人たちを助けることをやめて、略奪者の思うままにさせますが、民との約束を忘れたわけではなく救済策として『裁き人』と呼ばれる人たちを立て救いの手を差し伸べます。