父親の寵愛を受け、兄弟たちから憎まれ、エジプト人の家で無実の罪を着せられ投獄され、夢の解き明かしをしたことがきっかけで、エジプト第二の地位を獲得し、妻をも得たヨセフ
ついに兄弟たちとの再会を果たします。

飢饉が到来する
ヨセフが夢を解き明かしたように、エジプト全土を飢饉が襲います。飢饉は周囲の街にも影響を及ぼし、各地から食料を買い取るために多くの人々がやってきます。
そんな中に、ヨセフの兄弟たちがいました。そしてヨセフに低く身をかがめました。
こうして1つ目の夢の予言が成就しました。
ヨセフはすぐに気が付きましたが、通訳を介して知らないふりをします。
ヨセフは成長し、身なりもエジプトの王族の装いをしており兄弟たちは気が付きません。
兄たちを試す
ヨセフは兄弟たちに対して『この者たちはエジプトのことを探ろうとするスパイに違いない』といいます。
兄弟たちは『私達はカナン地方にいる父の息子12人兄弟です。一番下の弟はいま父のもとに居て、もうひとりはもうおりません』といいます。
しかしヨセフはいやスパイだ。といって彼らを三日間拘束します。三日目に誰か一人を残して一番下の弟を連れてきたら命は助けるといいます。
兄弟たちは、きっとヨセフに対してひどいことをした報いを受けているのだと話し合います。ルベンはだからあの時やめるように言ったじゃないか・・といいます。その様子をヨセフは見ていて涙を流します。
ヨセフはその場に残るものとしてシメオン(二番目の息子)が産まれを選び、皆が見ている前で縛り、食料を持たせて他の兄弟達を帰らせます。
お金が返されている
ヤコブに事の顛末を話し、各々自分の荷物を整理していると、支払いに使ったはずのお金が何故か戻っています。ヤコブと息子たちはそれをみて恐れおののきます。
ヤコブは『あなた達は私から全て奪うのか?ヨセフはもう居ない、シメオンも居ない。その上ベニヤミン(末の弟)まで連れて行こうとしている。』
ルベンは、父の悲しみをみて、もしもベニヤミンが戻らなかったら私の二人の息子の命を奪って構わないので、どうか自分に任せてほしいと頼みます。
ヤコブは反対でしたが飢饉は一層激しくなりどうしても食料を得る必要がありました。
ベニヤミンを伴ってエジプトへ
兄弟たちはベニヤミンを連れてエジプトへむかいます。
エジプトにつくとすぐにシメオンに引き合わされて、食料管理官との食事の席に招かれます。
兄弟たちは以前、料金が戻っていた一件を話すと、係の者は適正に頂いていますよと言います。食料管理官のヨセフからいろいろな質問を受けた後に、兄弟たちは再びヨセフに身をかがめます。
銀の杯
兄弟たちが帰路につくときにヨセフは従者に命じて前回同様に、それぞれの袋にお金を戻しておき、さらにベニヤミンの荷物の中にヨセフの銀の杯を入れるように命じます。
そして、従者を追いかけさせて彼らが管理官の杯を盗んだに違いないと告発させました。
彼らはそんなことはしていないといいますが、袋の中を探るとベニヤミンの袋から杯が出てきます。
あなたたちはどうして恩をあだで返すようなことをしたのか
あの杯は私の主人が飲む時や将来を占う時に使うものではないか
あなたたちは悪いことをした
創世記44:4,5
ヨセフは一貫して、夢の解き明かしが神の力だと述べていること、ヘブライ語聖書では一貫して夢占いを偶像崇拝と結びつけていることからこの銀の杯を占いに実際使っていたとは思えません。
しかし、水を入れた杯に宝石などを落として覗く方法や、水面に映る 日光の具合によって未来を予見する習慣があったようです。
ヨセフの前に連れ戻される
こうして、杯を盗んだと言うことでヨセフの元へ連れ戻された兄弟たちは全員が、父のために自分が一生奴隷として働くのでベニヤミンだけは帰してほしいと懇願します。
ついにヨセフは感情を抑えることができなくなり、兄弟たちに自分がヨセフであることを明かしました。その後、ヨセフの兄弟たちが来たということがファラオの耳にも届きました。
一家が招待される
ヨセフの兄弟たちがやってきたことを受けて、ファラオは家族にエジプトに来て暮らすようにといいます。
家畜に荷物を積んでカナン地方に行き、父と家の人たちを連れて私の所に来なさい
エジプトの良い物を与えよう
この土地で取れる最高の物を食べなさい
そしてこう告げなさい
子や妻のために、エジプトから牛車を持っていきなさい
その1つに父を乗せてここに来なさい
家財道具のことは心配要らない
エジプト全土の最高の品々を与える 創世記45:18-20
ヤコブとヨセフの再会
ヤコブ(イスラエル)とその一族達は南方のヘブロンという場所に住んでいましたが、エジプトのデルタ地帯ゴシェン(創世記46:34)に住むよう招待されます。
神から啓示を受ける
神は夜に幻の中でイスラエルに話し掛け
ヤコブ、ヤコブと言った
イスラエルは はい と答えた
神は言った 私は真の神 あなたの父の神である
エジプトに行くことを恐れてはいけない
私はそこであなたから偉大な国民が生まれるようにする
私があなたと共にエジプトに行き 私があなたをそこから連れ戻す
また あなたの目はヨセフの手で閉じられる
こうして、エジプトに住むことになったイスラエル一族ですが飢饉は一層激しくなり、人々は食料をエルためにヨセフのもとを訪れ、家畜や土地と食料を引き換えたため、土地も家畜もファラオの物となっていきました。
ヤコブの最後の言葉
ヤコブが死の間際に残した言葉がイスラエル12氏族の特徴となります。

ヤコブの死
ヤコブが亡くなってヨセフはヤコブに対して40日間かけてエジプト式の防腐処置を施し埋葬させたと書かれてます
見た人々からは、きっと地位の高いエジプト人が亡くなったのだと言われていたことから、葬儀はエジプト式だったのではないかと想像できます。
そして、その盛大なエジプト式葬儀を行った後に、葬送の一行はカナンのマムレに面したマクペラの土地にある洞窟へ行き、ヤコブを葬ります。
マクペラの洞窟
この場所は、かつてアブラハムが妻のサラを埋葬した場所でもあります。
アブラハム、イサク、リベカ、ヤコブ、レアの埋葬場所です。
エジプト式防腐処置
防腐処置を施す理由は、死体の保存と関係があります。腐敗の進行を遅らせる目的と、宗教的な理由もありました。
金属の手術器具を用いて、鼻孔から脳を抜き取り(液状化してとりだしたらしい)内蔵を除去し遺体を乾燥させ防腐剤を塗り込み殺菌し布でくるみました。
ヨセフがヤコブの亡骸に防腐処置を施したのは遠方まで、遺体を運ぶためだったと考えられます。
聖書の中で、このような防腐処置を施された例は、ヤコブとヨセフの2つしかありません。ヘブライ人の慣習にはありませんでした。