失われた12氏族
イスラエルの氏族は12氏族でした。しかし、ソロモン王の統治の後 南北に分裂しました。南の氏族と北の10氏族です。こちらももご覧ください。
北側は南より先に滅亡しており、そのために南の部族からの呼び名として、『失われた10氏族』と言われる様になりました。

北側の10氏族とはルベン、シメオン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、イッサカル、ゼブルン、マナセ、エフライムを指すと言われています。(下の表の●)
レビ、ユダ、ヨセフが南の部族です。
数を数えると12以上ありますが、レビ部族は祭司職のため領土を持たず各地に分散して暮らしており、数に含まれませんでした。
そして、マナセとエフライムはヨセフの息子たちであり、ヨセフ族と数える場合もありました。
シメオンは後にユダに吸収されていて、領土的にはユダなのですが、宗教的な意味合いでは北側についており旧約聖書では10氏族の一つとされています。
ダンの氏族は新約聖書中の黙示録で選ばれる民の記述に含まれていません。その理由は聖書の中に見出すことができません。黙示録ではレビを入れているので数を合わせるためだとも考えられます。 エゼキエル書48章ではダンの名が述べられていて何か特別な偏見があったために除外されたわけではないように思います。
黙示録の記述
そして私は証印を押された人たちの数を聞いた。それは14万4000人でありイスラエルの子孫の全部族の中から人々が証印を押された。
ユダ族の中から1万2000人が証印を押され
ルベン族の中から1万2000人
ガド族の中から1万2000人
アシェル族の中から1万2000人
ナフタリ族の中から1万2000人
マナセ族の中から1万2000人
シメオン族の中から1万2000人
レビ族の中から1万2000人
イッサカル族の中から1万2000人
ゼブルン族の中から1万2000人
ヨセフ族の中から1万2000人
ベニヤミン族の中から1万2000人が証印を押された。
証印を押された人
上記の黙示録によれば、世の終末に額に証印を押される者の数が14万4千人だと記されています。
この聖書の言葉のあとにはそれと共に様々の国と部族と国語の中からきた大群衆について言及しています。この大群衆と14万4千人の選ばれし人々が世界の終末を生き延びて素晴らしい世界が始まると書かれいるのです。
イスラエルの氏族はこの14万4千人に含まれています。
●ルベン族 | ヤコブとレアの第一子 12,000人 | 10支族 |
●シメオン族 | ヤコブとレアの第二子 12,000人 | 10支族 |
レビ族 | ヤコブとレアの第三子 12000人 | ※1 |
ユダ族 | ヤコブとレアの第四子 12,000人 | ※2 |
●ダン族 | ヤコブの5番目の子 ラケルの女奴隷ビルハが産んだ 黙示録7章額に証印を押されたものたちで除外されている | 10支族 ※3 |
●ナフタリ族 | ヤコブの6番目の子 ナフタリが祖 ヤコブとラケルの女奴隷ビルハが産んだ 新約聖書では終末に回復されるイスラエルへの慰めの地として挙げられている 後のガリラヤ(イエスキリストが幼少期をすごす場所となる) 12,000人 | 10支族 |
●ガド族 | ヤコブの7番目の子 ガド祖 ヤコブとレアの女奴隷ジルパが産んだ 12,000人 | 10支族 |
●アシェル族 | ヤコブの8番目の子 ヤコブとレアの女奴隷ジルパが産んだ 12,000人 | 10支族 |
●イッサカル族 | ヤコブとレアの第五子 12,000人 | 10支族 |
●ゼブルン族 | ヤコブとレアの第六子 イエスが育った場所ナザレはゼブルンの所有地 12000人 | 10支族 |
ベニヤミン族 | ヤコブとラケルの子 ヤコブの12番目の子 ヨセフの弟 出産後母ラケルは亡くなった 12000人 | ※4 |
●エフライム族 | ヨセフ(ヤコブの2番目の子)の2番目の子 10部族の総称となりヨセフ族ー=エフライム族を表しているらしい。 | 10支族 |
●マナセ族 | ヨセフの第一子 エフライムより年下 | 10支族 |
ヨセフ族 | ヤコブとラケルの第一子 12000人 | ※5 |
これらの氏族の始まりは、すべて『ヤコブ』という一人の人から始まっています。
12氏族の始まり
イスラエルの12支族が始まったのはヤコブからだということができます。そのヤコブが聖書に出てくる神と契約を交わしたことから大いなる国民が生まれます。
ヤコブ

ヤコブは、イサクとリベカの息子で、後に神から『イスラエル』という名前を与えられます。このイスラエルの息子たちが後の12氏族となっていきます。
ヤコブの正式な妻はラケルという美しい女性でした。
ヤコブの一人目の妻 レアとの子供
ルベン シメオン レビ ユダ イッサカル
レアの侍女のジルパとの子供
ガド アシェル
ヤコブの愛したラケル(レアの妹)との子供
ヨセフ ベニヤミン
ラケルの侍女ビルハとの子供
ダン ナフタリ

ヤコブとラケルの出会い
ラバンの娘がレアとラケルです。
ヤコブは井戸のそばで、ラケルと出会いました。

ヤコブとラケルが出会う
ヤコブはイサクとリベカの子で、リベカはラバンの妹です。ですから、レアとラケルの姉妹とヤコブは従兄弟同士となります。
イサクとリベカ⇨ヤコブ リベカとバランは兄妹
ラケルは容姿端麗な美女
創世記29章17節にはレアは目に輝きがなかったけれど、ラケルはとても魅力的な姿も顔も美しい女性だったと書かれています。
妹のラケルは姿も顔も美しい女性
一方姉のレアは目に輝きがない女性
ヤコブはラケルを愛するようになった
聖書に記述を見つけられませんでしたが、叔父であるラバンの家に1ヶ月とどまった後に、愛するようになっていたと過去形なので、多分外見的な魅力だけではなく、内面的な魅力も、申し分なかったのだと思います。
7年間の労働
ラケルの美しさに惹かれたヤコブは父親ラバンに、7年間使えることを申し出ます。
ラケルと結ばれるのために
7年間(ラバンに仕える)労働をしたヤコブ
7年間の労働を終えてラケルと結ばれる日がやってきました。
ところが、父親ラバンはラケルではなく上の娘のレアをヤコブのところへ送り出します。
気が付いたののは関係を持った翌朝のことでした。
7年後、ラケルと結ばれるはずが、
翌朝見るとレアだった
おそらく、当時の結婚式の習慣は、女性はベールをかぶって行われたそうです。
また、夜は現代よりも薄暗く気がつくことができなかったのでしょう。
そして、ラバンあなたはなんということをしてくれたんですか?私を騙したのですか?と訴えます。
さらに7年間の労働
レアと婚姻の週を過ごしたのちにラケルと結ばれることを許そう。だが、あなたはさらに7年私に仕えなければいけません。
ヤコブはレアと婚姻の週を過ごしたのちにラケルと結ばれることができる。しかし、さらに7年間の追加労働を強いられる。
父は、この土地の習慣で下の娘から嫁がせることができないのだ。と言います。祝いの週をレアと共に過ごすなら、ラケルも差し出します。その代わりにもう7年ここで働きなさい。と言います。
婚姻の祝いの週をレアとともに過ごした後、ヤコブはラケル迎えることができましたが、ヤコブは14年間ラバンの元で無報酬の労働を強いられます。
ヤコブはラケルのために
さらに7年間の労働を強いられた
レアとラケルの気持ち
レア
レアは器量がラケルと比べると劣っていたかもしれませんが、おとなの女性であり、夫の気持ちが自分ではなくラケルを愛していることは承知していました。
創世記29章31節では神がレアが愛されていないのを見てレアに子供ができるようにされたと書かれています。
神はレアに子供ができるようにされた
ルベン シメオン レビ ユダ
1、ルベン 2、シメオン 3、レビ 4、ユダ を産みますが、それぞれの名前の意味から夫に愛されていないのに、妻にならなければならない苦しみが伝わってきます。
最初の子、ルベンを産んだ時レアはこれで夫に愛してもらえると思います。と言っています。
二人目のシメオンを産んだ時は 私が嫌われているから神はこの子も与えてくださったと言っています。
レビの時は 今度こそ夫は私と共になってくれるはずと言います。子供を3人も産んだんだから・・・と。
4人目のユダの時は私は神を賛美すると言いました。
これで夫に愛してもらえる
私が嫌われている
今度こそ夫は私と共になるはず
私は神を賛美する
ラケル
一方ラケルは夫の愛情を受けていましたが子供ができませんでした。
夫の愛情を受けていたが、石女だったラケル
姉のレアに嫉妬する
創世記30章を読むと、ラケルが姉のレアに妬みの気持ちを抱き、自分に子供ができないことを嘆き、ヤコブは怒り夫婦喧嘩したことが述べられています。
自分の代わりとして侍女を差し出す
ラケルの侍女
どうしても子供が欲しいラケルは自分の侍女のビルハと関係を持ってを自分の代わりに、ヤコブの子供を持てるようにしてほしいと懇願します。
(侍女を夫に差し出すという感覚が日本人にはなかなか理解できませんが、聖書のなかで名前が出されている女性ですし、神の御心にかなったことということなのだと思います。その子らもその後イスラエル部族となることからそう言えるのだろうと解釈しました)
それでヤコブとビルハの間に子供が生まれます。
ダン ナフタリ
5、ダンと6、ナフタリです。
ダンは神は私の声を聞いてくださったという意味で、
ナフタリは私は姉と激しく争って勝ったという意味です。
レアの侍女
一方、レアも子供が産めなくなったので自分の侍女のジルパをヤコブに差し出します。
ヤコブとジルパの間にも子供が生まれます。
ガド アシェル
7、ガドと8、アシェルです。
ガドは私は恵まれているとか幸運とかいう意味で、アシェルは私は幸せな人と呼ばれるという意味です。
コイナス
ある日、一番目の子ルベンがコイナスをレアのところへ持っていくとラケルがそれを少し分けて欲しいと言います。
コイナスには催淫効果があると言われていたようです

レアは、私の夫を取っただけではまだ足りないのですか?今度は私の子供のコイナスまで取るのですか?と聞きます。
ラケルはあなたのコイナスをもらう代わりに今夜はあなたがあの人と寝ていいです。と答えます。
ラケルはルベンのコイナスと引き換えに姉がヤコブと関係を持つことを許した
なぜラケルはコイナスと引き換えに姉と夫が関係を持つことを許可したのでしょうか?
この時点でラケルは自分ではヤコブとの子供を産むことができていませんでした。
もしかすると、このコイナスがラケル自身の妊娠を助ける効果があると考えたのかもしれません。
その際の子供がレアにとっては5人目 ヤコブの9人目の子 イッサカルです。
さらにレアは妊娠します。レアにとって6人目です。ヤコブの10番目の子です。レアは、今度こそ夫は私をを受け入れてくれる。6人も産んだんだからと言います。 そのこの名は10、ゼブルンです。
イッサカル ゼブルン
さらにレアは、ディナという女の子を産みます。
創世記30章22節でついに神はラケルを思い出されたと書かれていて、ラケルはヨセフを産みます。
ヤコブとラケルの子供が生まれる
ヨセフ ベニヤミン
ヤコブとラケルにとってはひとり目の子ヨセフです。 ヤコブにとっては11番目の男の子でした。
さらにラケルはベニヤミンを産みますが、その際の出産が原因で亡くなってしまいます。 ベニヤミンはヤコブにとっては12番目の子です。
レアとラケルの間には、ドラマのような色々な思いが渦巻いていたことと思われますが、ルツ記4章11節でラケルとレアからイスラエル国民が生まれたと述べられています。
このレアとラケルの話ですが、古事記の中に似てると感じるエピソードがあります。コノハナサクヤヒメ という女性の話です。