ギルガメッシュ叙事詩あらすじ
ギルガメッシュ叙事詩とは
ウルク第1王朝時代に実在した(説が有力)ギルガメシュを主人公にした英雄叙事詩。
丹なる神話と言うよりは歴史伝説と言えるかもしれません。
世界の秘密の鍵を握る賢人と会うための旅をするという内容です。
紀元前2000年ごろシュメール時代から書かれたと言われています。
ギルガメッシュ叙事詩の断片の解読に初めて成功したのは大英博物館のジョージ・スミスという考古学者です。
ギルガメッシュ、半神半人
ウルクの王ガルバンダと守護女神ニンスンの間に生まれたのがギルガメッシュです。ギルガメッシュは半神半人なので力があって優秀でしたから王に変わって統治を始めますが、そのやり方は暴君です。
ウルクの人々はギルガメッシュの圧政を嘆きます。
ウルクの王と女神ニンスンの子⇨ギルガメッシュ
半神半人⇨優秀、容姿端麗、力が強い
ギルガメッシュによる圧政に人々は嘆き悲しんでいた
同等の力を持つエンキドゥを造る
人々の嘆きを聞いた天の神アヌは女神アルルにギルガメッシュと同等の力を持つものを作るように命じます。
アヌ(アン)神
メソポタミア神話の創造神 最高神 ウルクの都市神
※アヌは最初から存在していたわけではなく、父、母がいます。そして、妻大地の神キとの間にたくさんの神々が生み出されていて総称を『アヌンナキ』と言います。
アルルが粘土をこねて作ったのが野人エンキドゥです。野人というように、エンキドゥは長髪で尻尾と毛むくじゃらな体で人としての知能はほとんどありませんでした。
エンキドゥは獣たちを従えて暮らしていました。
エンキドゥは土から作られた
女神が作っていますから、おそらく他の神々も同等の力を持っているものと推測されます。
知能はあまりなかった
なんらかの方法で人に知恵を授けることができることを意味します。
エンキドゥが人として生まれ変わる
ある時、ギルガメッシュはエンキドゥが狩の親子を襲った話を聞きます。
そこで神聖娼婦のシャムハトを使わします。
シャムハトを見た獣は皆逃げていきますが、エンキドゥはシャムハトの誘惑に惹かれて6晩に渡って交わり、人間の食物を口にしました。
このことによってエンキドゥの体毛は抜け落ち、野人性が消え人の言葉を覚えました。
エンキドゥとギルガメッシュの出会い
やがて、エンキドゥとギルガメッシュはウルクの街で出会います。二人は対峙すると、どちらからともなく力を競い合いますが、決着がつきません。
二人は互いの力を認め合い、抱擁を交わし友となります。
フンババ討伐の旅
ついで、ギルガメッシュは杉を得るために、杉の森を支配する怪物フンババを倒す遠征に出ることにします。
それを聞いたエンキドゥは泣いて遠征に反対します。
エンキドゥの涙を見たギルガメッシュは土から生まれたエンキドゥに悲しみを感じる気持ちがあるということに驚きます。
しかし結局二人は杉の森へフンババを倒しに出掛けることにします。
杉の森を所有しているのはシャマシュという太陽の神です。
シャマシュの加護と援護もあり、フンババは降参し、命乞いをしてきます。
ギルガメッシュは命乞いを受け入れようとしますが、エンキドゥが殺すことを勧めたためフンババの首を切って息絶えさせます。
女神イシュタルに命を狙われる
その後、ギルガメッシュが凱旋した際に、美の女神イシュタルがギルガメッシュに一目惚れします。しかし、イシュタルと関係を持った男たちのの末路が悲惨なものであることを知っていたギルガメッシュはその愛を受け入れません。
憤慨したイシュタルは自らの父を脅迫して(父親アヌ説、月神シン説、諸説あり)聖牛グガランナを地上に解き放ちます。

ギルガメッシュとエンキドゥはグガランナを討伐し、雄牛の足をイシュタルに投げつけます。
その夜、エンキドゥは夢を見ます。ギルガメッシュとの旅で犯した罪の報いを受けて自分が亡くなる夢でした。
エンキドゥは狼狽しますが、その決定が覆ることはないことを悟りギルガメッシュに看取られながら息を引き取ります。
命に限りがあることを思い知る
エンキドゥを失った悲しみから荒野を彷徨っている時に、ギルガメッシュは初めて死の恐怖を感じます。
そこで、不死を得たと言われているウトナピシュテムに会いにいって永遠の命の秘密を聞く旅に出ることにします。
エンキドゥが命を終えたことでギルガメッシュは死を恐れるようになる。
不死の秘密を探る旅の途中、酒場の女主人シドゥリと出会います。
ギルガメシュ、どこまでさまよい行くのですか。
あなたの求める生命は見つかることがないでしょう。
神々が人間を創られたとき、人間には死を割りふられたのです。
生命は自分たちの手のうちにとどめておいて、あなたはあなたの腹を満たしなさい。昼も夜も楽しんで、日ごとに饗宴を開き、子供たちをかわいがり、胸に抱かれた妻を喜ばせなさい。
それが人間のなすべきことだからです
ギルガメッシュ叙事詩第11書版 洪水伝説
サソリ人間
ギルガメッシュは地の果てマシュ山の双子山に到着します。そこに着くと半人半獣のサソリ人間(ギルタブルル)二人(男女一対)が門を守っていました。
サソリ人間どもがその門を見張っていた
そのたけだけしさは恐ろしく、その姿は死だ
彼らの恐ろしい輝きは山をつつんだ
日の出と日没には太陽を見張っていた
ギルガメシュは彼らを見ると
彼の顔は怖れと驚きに青ざめた
だが彼は勇気を出して彼らに声をかけた
サソリ人間はギルガメッシュを引き止めようとしますが、結局は門を開けてくれます。
山の門の奥は120キロの洞窟になっています。
https://shachi.blog/mystery/cave/そしてついに楽園にたどり着きます。
ウトナピシュテムにでうことができたギルガメッシュは不死の秘密を聞来出します。
ウトナピシュテムの語った内容
洪水で人々を滅ぼす計画を知る
神々の秘密をお前(ギルガメッシュ)に話そう。ユーフラテス河の河岸に位置しているシュルパックは古い町で、神々が住んでいた。彼らは、大いなる神々に洪水を起させたのだ
ウトナピシュテムは洪水が起こることを知り、命がたすかるために指示通りに船を作ったことを話します。
船の詳細を教えられる
5日目に骨組みを築き上げた。
その表面積は1イクー、その4壁の高さは10ガル、その覆い板の幅はそれぞれ10ガル
6シャルの瀝青を私はかまどへ注ぎ込んだ。
エア神の指示で船を作り、自分と自分の家族、全ての動物を乗せ、いよいよ洪水が起こります。
残された人々は見分けがつかないほどひどい状況でしたが、住んでいた神々たちはアヌの点の元へ帰っていきます。
神々は元の場所?へ帰っていった
やがてニシル山の山頂に船は止まり、ウトナピシュテムはハトを放ちます。ハトは羽を休める場所を見つけられずに船に戻ってきます。
そこど今度はツバメを放ちます、ツバメも同様に戻ってきました。次に大カラスを放つと帰ってきませんでした。
洪水後
神々に生贄を捧げると、その匂いにつられて多くの神が集って来ました。
聖書の箱船の記述と実によく似ています。
https://shachi.blog/bible/noah/聖書と違うところ
生き残った人間がいると知ったエンリル神は怒りますが、ウトナピシュテムを助けたエア神は『今は助かった者たちに、助言を与えるべき』と言います。
その言葉を受けて、エンリルがウトナピシュテムとその妻を、船の中に招き入れて膝まづかせ額に触れてこう言います。
『今より、ウトナピシュティムとその妻はわれら神々のごとくなれ』
そのようにして、永遠の命を得ることができたのです。
神のごとくなる⇨不死、永遠の命
洪水を起こしたのはアヌ神ではなく、エンリル神です。アヌはエンリルに対して、『私の人間たちを破滅に委ねた』といっています。
神々の中に、
人を滅ぼしたいエンリルタイプと
人を助けようとするエアタイプが存在していることがわかります。
話し終えたウトナピシュテムは洪水の時と同じように六日六晩の間眠らずにいるようにと告げられますが、眠ってしまいます。
ウトナピシュテムの妻から、若返りの植物が海底にあることを聞き帰り道でその植物を採ることができますが道中に蛇に奪われてしまいます。
結局ギルガメッシュは、永遠の命を得ることができず涙を流しながらウルクの街へ帰っていきます。
